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総合プロデューサー・鈴村健一による
『AD-LIVE ZERO』
マッチングレビュー

開幕を直前に控え、『AD-LIVE』総合プロデューサー・鈴村健一が各マッチングの意図や見どころについて紹介!

■梶裕貴×前野智昭

"その場で決める”梶裕貴 × "相手の設定にさらに盛っていく"前野智昭

"その場で決める"梶裕貴×"相手の

設定にさらに盛っていく"前野智昭

本当に若い頃から切磋琢磨している、ライバルであり、友である二人。その独特な距離感がどんな物語を紡ぐのか、僕も見てみたいと思ってマッチングしました。
梶くんは前回の公演で「なにも決めないで舞台に立つ」ということをすでにやっていたので、『AD-LIVE ZERO』に向いているだろうと思ってお声がけしました。

一方、前野くんは前回、櫻井孝宏くんの相手として初めて『AD-LIVE』に出ていただきましたが、櫻井くんのつくった設定のもとに進んで行くドラマのなかで、積極的に設定を盛り込んでいくようなお芝居をしていて、それがすごく面白かったんです。

今回、“その場で決める”梶くんと“相手の設定にさらに盛っていく”前野くんというマッチングはきっと伸びるだろうと思いますし、誰も観たことがないドラマが生まれる可能性が高いと思っています。本当に完璧なマッチングだと思いますし、僕自身すごく楽しみです。初日を素晴らしく飾ってくれると思います。

■吉野裕行(初参加)×鈴村健一

"ミスターストイック"吉野裕行に、鈴村健一が立ち向かう!

"ミスターストイック"吉野裕行に、

鈴村健一が立ち向かう!

貧乏をしていた若い頃からの同志・よっちんが、ついに登場してくれることになりました。これまでもずっと、よっちんには「出てほしい」と言っていましたが、うまく縁がつながらなかったんです。それが今回「時は満ちた」という感じで(笑)、いよいよ実現となりました。僕は本当に純粋に、よっちんとステージに立ちたかった。

強大な爆発力を持つ、いい意味での“敵”みたいなよっちんがきっと暴れてくれるだろうから、僕がそこに役者としてどう立ち向かっていけるか……本当に楽しみですね。

本人は「アドリブ苦手だよ!」とか言ってますが(笑)、だからこそ面白いんじゃないかと思います。役者としてのよっちんのすごさは、あのすさまじい集中力なんです。90%の人が正解だと思っている芝居を選ばずに、残りの10%を選んでくる。そこで90%の人を納得させられるだけのものを出してくるのが“吉野裕行”という役者。正解というものに絶対に甘んじない“ミスターストイック”ですから、そういったストイックさが今回の舞台にも出てくるんじゃないかなと思います。

■仲村宗悟(初参加)×森久保祥太郎

"ラジオ力"の高い仲村宗悟を"スーパーセーフティー"森久保祥太郎が導く

"ラジオ力"の高い仲村宗悟を

"スーパーセーフティー"森久保祥太郎が導く

僕は、ラジオでトークする感覚とお芝居をする感覚ってすごく近いと思っているんです。相手の話を聞いて、それを自分で受け止めて、どうやって返していこうか考える。とくに『AD-LIVE』は“ラジオ力(りょく)”の高い人が向いているんじゃないかと思うんです。そういう意味で仲村くんは、ラジオ力がすごく高い。

周りを気遣いながらも物怖じせず行くときは行く。それがすごく自然で、かつエンタメしている。その感じが僕は好きで今回お声がけしました。

そんな仲村くんを「森久保くん、よろしくお願いします」というキャスティングですね(笑)。もう、スーパーセーフティーの森久保くんがいれば大丈夫でしょう。彼の存在自体がセーフティーネットというか(笑)。どんどん拾って、どんどん盛り上げてくれると思うので。森久保くんもラジオが本当に面白くて巧みなんですよね。拾っている素振りも見せないように拾っていくうえ、圧倒的な個性を持っている。“自分の個性を発揮しながら、若手をちゃんと導いてくれる人”と考えると、森久保くんが最も相応しいと思いました。

■寺島拓篤×豊永利行

"縛り"も"足かせ"も外れた寺島拓篤と豊永利行がガチで殴り合う!?

"縛り"も"足かせ"も外れた寺島拓篤と

豊永利行がガチで殴り合う!?

寺島くんは将棋みたいに何手も先を読んで、相手に先回りして動くのを得意としている、ものすごい"攻め"の人。2016年に一緒に舞台に立ちましたが、僕がつくった設定に寺島くんを引っ張り上げようとしたら、彼は乗っかるだけじゃなく、さらに設定を乗っけてきて(笑)。でも、そのときは僕がつくった設定を守らなきゃいけなかったから、 せっかく

寺島くんが乗っけてくれたものでも軌道修正しなくちゃいけない場合もあったんですね。今回はそういった“縛り”もないので、のびのびとできる環境で、どこまでも攻めていく寺島拓篤を僕はぜひ見たいと思いました(笑)。

対するトッシーは、“あらかじめすべてが決まっているルートを辿らなければならない”という特殊な構成だった2017年の舞台に出てくれて。だいぶ狭い道を進まないといけなかったと思いますが、見事にやりきってくれたんですね。あれを観ながら「トッシーから足かせを全部なくしたら、どうなるんだろう?」と思ったんです(笑)。滅茶苦茶自由に動くだろうし、発想力も豊かなので、テラシーと似たタイプなんじゃないかと思っています。

梶くんと前野くんが“鍵と鍵穴の関係”だとしたら、テラシーとトッシーは“どっちも鍵”で「二人で鍵穴を探しましょう」みたいな感じ(笑)。穏やかな二人が、ニコニコしながら殴り合う姿が浮かぶというか……穏やかなふりをして、胸の内では情熱的にお芝居を繰り広げる、異常にアツい芝居が生まれるんじゃないかなと、本当に楽しみです。

■鈴村健一×森久保祥太郎×浅沼晋太郎

"超人"浅沼晋太郎を迎え、鈴村健一&森久保祥太郎がリミッターを解除する

"超人"浅沼晋太郎を迎え、鈴村健一&

森久保祥太郎がリミッターを解除する

このマッチングでは、可能なかぎりリミッターを解除してみたいと思います。「俺たちどこまで行けるんだろう!?」って、本気を出して挑んでみたいと思いました。浅沼くんがとにかくすごいので……例えば2017年に彼が小説家を演じたときなんて、スタッフの書き置きをたまたま拾って、それを使って壮大なドラマへと変えていったという(笑)。

あの突破力は随一ですよね。
戦闘力が圧倒的に高い人なので、僕もずっとお手合わせ願いたいと思っていましたが、少し構えてしまうくらいすごいんですよ。でもね、いよいよ本気を出して挑もうと思って、今回は演出には入ってもらわず、純粋にプレイヤーとして舞台に立ってもらうべくお呼びしました(笑)。徳島公演は本当になにも考えずに「なにをやってもいいんだ」ってところを目指したい。浅沼くんや森久保くんがいてくれたら、それが叶うんじゃないかと思います。

浅沼くんと森久保くんの二人は準備に余念がない人たちなんですが、今回それをもがれているので(笑)、全然違うアプローチになるとは思います。でも、じつは二人とも、準備したものを“活かす”ポテンシャルが高いというところのほうが重要であって。その“目の前にあるものを活かす”ポテンシャルが存分に発揮できるような舞台になると思っています。二人とも「怖いね、これ」って言ってますけどね(笑)。